撮影ワークフロー

08.カメラ周辺機器3/3;撮影ワークフロー

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カメラ周辺機器さらにつづき

ボディに直結して使うツールに続いて、フレームの安定性、操作性を向上したり、精度を上げるためにカメラの可能性を拡張できる装備品を使う方法に触れる。リグと特機について、参る。

リグ

カメラにパーツを増設する際に使うパーツをまとめてリグと呼ぶ。もちろん重くなるが、このデメリットを上回る機能向上を目的に選択する。リグを組むことをリギングと云う。

ネジ

チーズプレートやリグの拡張にはネジ止めが主流。カメラ機材で使われるネジの規格を知っておこう。1/4インチネジと3/8インチネジの2つがほとんど。1/4インチネジはカメラ下部やリグで一番使われることが多い。3/8インチネジはこれより一回り大きく、三脚と雲台の固定など、主により重量のある大きなものの固定に使われる。小型のパーツには一部、細いミリネジが使われることもある。

1/4インチネジと3/8インチネジの相互変換アダプタもある。オス-オス変換、オス-メス変換、メス-オス変換、メス-メス変換全てが可能。ただ、手持ちの機材の形状やスペースによって使えるかは要確認。

ドライバー

ネジの頭はマイナス、プラス、六角があり、適したドライバーやレンチを持ち歩く。プラスネジはマイナスドライバーでも回せるため、マイナスと六角ドライバーがあれば十分か。ただし、形状の特性によりプラス、マイナスドライバーはネジとのサイズ差をある程度許容して噛み合わせることができるが、六角ネジは厳密にネジ穴と同じサイズでないと噛み合わず、ネジ穴に入らなかったり空転して回せないため、六角ドライバーはサイズ別に複数持ち歩く必要がある。

リグの組み立て、分解、にネジを回しまくるため、マイナスドライバー、プラスドライバー、六角レンチがセットになった折りたたみドライバーを持っておくと便利。カメラ機材メーカーから各種売られている。組み立て、分解を行わないとしても、撮影中に緩んだネジの増し締めには十分使うことがある。

リグパーツを購入するとまず六角レンチが付いてくるため、ガンガン余る。

チーズプレート

ネジ穴がたくさん切ってある穴だらけのプレートを見た目から「チーズプレート」と云う。

様々なアクセサリーを拡張するために使う。プレート状のもの、バー状のものがある。ネジ穴同士の間隔はある程度規格があるようだが統一されているわけではないため、電源タップのように「あと1mm離れていれば」と希望のアクセサリーが取り付けられないこともある。

対応カメラの外径に合わせて作られた、カメラを覆うチーズプレートとも言うべき製品は「ケージ」と云い呼び分けられる。

ケージ

カメラに様々なパーツを接続するための鎧。とはいえカメラにはボタン類もあるため全体を覆うことはせず、プロテクターとしての防御力は高くない。むしろカメラボディにはネジ穴や他のパーツを接続するための仕組みが少なく、拡張性が低いため、基本的にケージによって他のパーツを拡張していくチーズプレートとしての役割がメインとなる。カメラをぐるっと一周するフルケージと、重くはしたくないけどちょっとだけネジ穴が欲しい欲張りさん用のハーフケージがある(個人の感想)。

1/4インチのネジ穴が数多く切ってあることが多く、拡張パーツを接続するベースとなる。

カメラ本体のシューを覆い隠す場合が多いが、この場合はまずケージに代わりのコールドシューが備えられている。

ケージによっては六角レンチを収納できる場合がある。

フルケージであれば右手側のグリップ部が厚くなるため、グリップ感が損なわれる、または稀に手が大きな方は良好になることがある。

NATOマウント

クイックリリース用の規格。オス側をNATOレール、メス側をクランプと云う。

ケージの一部がNATOレールになっている製品も多い。上図では右が後述するトップハンドルであるが、接続部分にNATOクランプを備えており、ボディの上部にNATOレールがあれば噛み合う。

後付けする場合はNATOレールやクランプを単体で購入できる。レール、クランプ共に1/4インチネジなどで固定する。ケージや軽量な三脚などにネジ止めしておき、ハンドルや外部モニターなど取り外しが多くなるパーツの固定をスピーディに行うために使う。細くスライドでの位置微調整ができるため、クイックリリースにスライドの概念が欲しい場合は検討する。仕様上、NATO同士の接続部に関しては捻れが防止されている。上図一番左のレールの状態のように、接続が1箇所のネジ止めである場合、緩むとレール自体の回転はしてしまうためしっかりと締め付ける。上図NATOレール右側の製品のように最低2箇所の固定ができたり、ネジの両横に回転防止ピンが備わっており噛み合わせられれば、多少ネジが緩んでも大きく回転せずに済む。

ロゼットマウント

クイックリリース用の規格。歯のギザギザ部分が露出しているタイプのマウントで、締めた角度からの回転を抑制できるメリットが有る。ARRIロゼットという規格が普及しているが、メーカーにより外径と歯の数が違う独自規格も出回っており、互換性の確認が欠かせない。

ケージなどへは1/4インチネジでの固定が多いが、中心部のネジ穴は6mmの「M6ネジ」で、ロゼットのオス側から締めて固定する。ロゼットの歯が噛み合っていれば回転しない。緩めて角度を調整できるため、サイドハンドルなどクイックリリースに回転の概念が欲しい場合は検討する。

トップハンドル

筆者イチオシ!まずはこれから買ってみよう!

カメラ上部にハンドルがあると、カメラを低く構えたい場合に持ちやすくなるのは想像しやすいだろう。だが一番のメリットは、カメラを吊り下げて持てるため、握力を大幅に節約できることである。トップハンドルがない場合、両手であれば手のひらでボディを潰すように固定したり、左手でボディの下を支えることだろう。片手であれば、右手でカメラのグリップ部を持つわけだが、このときカメラ左側が重力で下へ引かれ、回転する力=モーメントが生じる。これは握力で抑えることとなる。トップハンドルの位置を重心に近づけることで、回転を抑制し、負担を大幅に軽減できる。

通常、ボディのグリップ部を片手で保持する場合において”握る”ということは、どんなに軽いカメラでも不可欠だ。ヨコから握るということは、ピンチしないことには回転し落ちるからである。しかしながらトップハンドルであれば、重心近くに一本でも指がかかっていれば保持できる。握力の節約効果はかなり高い。カメラの重さではなく、人間の身体の作りを考慮するならばどれだけ軽いカメラにも装着したい。

ネジ止めタイプ、NATOタイプが有る。ネジタイプも単体のNATOマウントを付ければ簡単にNATOタイプにできる。

上図はNATOクランプになっているハンドルである。

サイドハンドル

左右あるが、右側は本体のグリップがありRecボタンなど操作ボタンを押す必要があるため、左手側のグリップ力を上げるために選択されることが多い。また、カメラからグリップ部が離れるほど、ハンドヘルド時に簡単に回転しない。カメラを保持する姿勢によって、負担の少ないグリップ姿勢の選択肢を広げる。

上図のように、ボディとのブリッジ部分がトップハンドルよろしく握力を休めるために使える。Rec中以外ではここに指をかけることで多少握力を休めることが可能。ただし、重心から大きく外れているため、握りを緩める場合でも逆の手はボディなり右ハンドルなりを保持している前提となる。

サイドハンドル自体をティルト方向に回転できる製品は、手の負担が軽い向きに調整できる。例えば肘より低い位置でカメラを支える場合、サイドハンドルは直立よりも頭が前に倒れていたほうが、肘より高い位置で構える場合は逆に頭が後ろに倒れていたほうが掴みやすいだろう。

1/4インチネジ止めタイプ、ロゼットタイプ、NATOレールタイプが有る。ネジタイプもメス側のNATOレールを付ければNATOレールタイプにできる。ケージのサイドはNATOレール仕様になっていたりいなかったり、レイアウト的にオス側のNATOレールの接続に適さない場合もあるため、確認する。

また、例えばBMCC6Kケージの左サイドはNATOレールを兼ねるが、ネジ穴も空いている。各種ケーブル端子も近接するため、上図左の丸型サイドハンドルでは一部の端子を覆ってしまいアクセスできなくなる。

よって筆者は上図右のブリッジ部分の長いネジ式を選択している。「プラグ自体は挿せるがハンドルと接触しケーブルが強く折れ曲がる」ような場合、サイドハンドルのブリッジ部分に延長パーツを噛ませたり、ケーブル側をL字コネクタで迂回させることで干渉を避ける手立てがある。あぁ、ゴテゴテしていく。

モニターマウント

外部モニターを保持するためのパーツ。コールドシュータイプ、ネジ止めタイプ、NATOレールタイプ、様々あり、カメラ側、外部モニタ側双方の接続部分に合わせて選ぶ。またはクイックリリース化のためNATOレールを追加するなどカスタマイズできる。

ティルト、ロールがしやすいほうが使いやすい。上図左のようにアームを備える「モニターアーム」も便利だ。

マジックアーム

照明、モニター、何を固定するにも使える汎用的な固定器具。関節が3つあれば、仕組み的に球体空間上のあらゆる位置に固定できる。関節タイプの他、フレキシブルタイプもある。耐荷重に注意。

機材接続部分はネジ止めタイプ、NATOレールタイプなど、機材側の規格に合わせて選ぶが、追加投資さえすればNATOクランプを追加するなどカスタマイズできるため厳密に考えなくとも良い。ただし、上図の1/4オスネジ式であれば、おそらくNATOレールのメスネジタイプはない(見かけない)ため、NATOレールに変換は素直にできず、メス-メス変換ネジが活躍する。強度は大分落ちるだろう。NATOクランプであれば素直に固定できる形状がほとんどなため、例えばマジックアーム側にNATOクランプ、モニター側にNATOレールを取り付けるといった組み合わせであれば実現しやすい。どういった組み合わせにできるか入手可能な製品をリサーチし終えてから購入検討することをオススメする。

ベースプレート(15mmロッド用を取り上げる)

カメラの底に取り付けるリグ。ここでは主に単なるチーズプレートではなく、次項のロッドシステムの基点となる15mmロッド用のベースプレートを取り上げる。下図では左右に15mmのパイプを通す穴が空いている。

ケージの下でも、カメラの下でも、必要な拡張性と重量や操作性とのトレードオフを計算し選択する。上図は珍しい分離式でクイックリリース機構付きの例。左のパーツがフネになっており、ボディ底に固定することで、撮影中に素早くロッドを切り離しハンドヘルドやジンバルへ移行時のスピードが上がる。ロッドを切り離す必要がない場合、メリットは特に無く分離式でなくとも困らない。

ロッドシステム

ロッドを通す穴にロッドを突っ込んで固定し、そのロッドに周辺機器を拡張していく。太さ15mmが一般的と思う。19mmや、ジンバルなど省スペース、軽量化目的で太さ12mmもある。15mmと12mmを相互変換するロッドもある。

ケージやカメラ底面にネジで固定するベースは、ロッドを伸ばし後述する「フォローフォーカス」や、これも後述する、重量のあるレンズを支える「レンズサポート」、または外付けバッテリーの固定に使われることが多い。

ただのアクセサリー単品の増設ではなく、上記のようにレンズとの接地を目的としたアクセサリーの接続に使う場合、しなりは問題になる。

ベース自体にクイックリリースが付いている場合がある。

ロッド

重い方からチタン、アルミ、カーボンファイバー製がある。安い方からアルミ、カーボン、チタン。硬い方からカーボン、チタン、アルミ。

アルミかチタン製でロッド内にネジ穴が切ってあれば、連結用のオス-オスネジ(多くはM12ネジ)でロッド同士を延長できる。

このネジ、心許ないサイズ感に見えるが、想像の17倍強度がある(個人の感想)。特に繋ぎ目が中間にあることでロッドベースで締め付けるという理由もあり、より安心である。

カーボンファイバー製は耐久性による制限なのかネジ穴が切られているものが見当たらない。あったら2018年から探しているので教えて欲しい。

アルミで長いとしなる可能性はあるので注意。

個人的には長いロッドではなく、短いロッドを連結前提という方が都合が良いケースが多かった。例えば収納に適していたり、後ろ側のロッドは次項の外付けバッテリーを接続しない場合不要となるため、装備によって分離することができたりといった具合だ。

Vマウントバッテリープレート

Vマウントバッテリーを固定するためのメス側となるプレート。業務用カメラは本体にVマウントを備える場合があるが、ない場合にはこのように別途プレートで後付する。

ロッド用のプレートでカメラ後方に設置したり、カニバサミ付きのプレートで三脚などに固定することが多い。ベルトに固定できるものもあり、手持ち時に腰の位置で荷重を受けられる。カメラ後方に設置する場合は背面モニタを視認、タッチ操作するためには空間を開ける必要があり、重心のコントロールに多大な影響を与える。

プレート自体に接続端子があるものもあり、バッテリーの差口を拡張できる。バッテリーからの電力を遮断するためのキルスイッチがあれば、一本一本機器からケーブルを抜く手間が省ける。

フォローフォーカス

レンズのフォーカスリングを回転させる仕組みを変換するもの。ノブの角度で回転の向き、ギア比で回転角度を変換する。

通常ロッドに接続する。

通常、フォーカシングはレンズを掴みロール回転させる。フォローフォーカスを使えばノブを回転させることで手のひらサイズでピッチ回転にできるとともに、微妙なフォーカス調整を可能にする。回転パーツにマーキングできる部分やマーキング用のパーツがある場合、ピントが合う位置を事前にマーキングし、Rec中は画面ではなくマーキングを見ながら正確なピント送りができる。

通常はロッドに組み合わせ、レンズのフォーカスリング位置に調整する。

スチル用のレンズであればフォーカスリングにフォーカスギアを巻き付け、フォローフォーカスの歯車とフォーカスリングを噛み合わせることができる。

シネマレンズであればフォーカスリングがそもそもギア状になっており、そのままフォローフォーカスと接続できる。

スチルレンズとシネマレンズでフォーカスリングの回転角度が異なるため、適した製品を選ぶ。回転角度が狭すぎるレンズはフォローフォーカス側で回転角度が広くなる組み合わせで微調整がしやすくなる。この回転角度はギア比によって変換できる。ギアの歯の数である。自転車の段速切り替えと同じ。

例えばレンズ側が1周100個の歯を持ち、フォローフォーカス側が1周10個の歯を持つ小さなギアであれば、フォローフォーカスのギアを10回転すればレンズのフォーカスリングを1回転できる。これはレンズのフォーカスリングを回転させるとフォローフォーカスのギアが10倍回転するということであるね。レンズ目線で100/10でギア比10と表現する。フォローフォーカスを1回転するとフォーカスリングは0.1回転することから、フォローフォーカス目線で10/100でギア比0.1と表現する。

対してレンズ側が1周50個の歯を持ち、フォローフォーカス側が1周100個の歯を持つ大きなギアであれば、フォローフォーカスを半回転すればレンズのフォーカスリングを1回転できる。これはスピーディなフォーカシングが可能な反面、コントロールしづらいはずだ。ギア比の数字が小さいほど微調整が可能で軽くなり、数字が大きいほどスピードは上がり重くなる。

ギア比別に商品があるものと、同一製品でギア部分を取り替えてギア比を変えられるものもある。

また、レンズによってフォーカスリングの回転方向が統一されておらず、フォローフォーカス側で回転方向を反転できるものもある。これはフォローフォーカスをレンズの左側に付けたり、180度回転させて右側に付けたり、または上に取り付けたいなどフォローフォーカス側の向きに合わせる場合にも活躍する。

ノブに四角い穴が開いていれば、それはクイックリリース用のマウントであり、フォローフォーカス用のアクセサリーを接続できる。例えばクランクやウィップがある。

フォーカスクランク

ノブを握って回す場合、一度で回しきれればいいが、そうでない場合、持ち変える際にガタつく恐れがある。クランク状にすることで指でくるくると継続した回転ができる点と、力を込めやすくなるためスピーディな回転が可能になる点がメリット。

小さいのでセットで持っていて損はない。

フォーカスウィップ

フォローフォーカス用の「Whip(鞭)」。ウィップマウントに接続し、フォローフォーカスのノブを離れた位置から回すことができる。

曲げても回転運動を伝えられる張力がある。

用途としてはカメラ周辺に操作スペースがない場合、外部モニタを見ながらこれを捻ってフォーカシングを行う。または、カメラオペレーターと別に、フォーカシング専門の「フォーカスプラー」と操作を分担する際に使う。特にショルダーヘルドで大きく動く場合に、カメラオペレーターはカメラワークに専念できる。ハリウッドの現場でも分担している。カメラワークもフォーカシングも同時に100点で行えないことは恥じることではないし、求めるべきではない。単独ビデオグラファーは合わせて100点となる撮影プランを考えるほうが建設的である。

電動フォローフォーカス

モーター駆動のフォローフォーカスも存在し、よりスピーディーに正確な制御ができる。場合によりフォーカス距離のA点、B点の学習が可能で、ピント送りを楽にする。スマホと連携するもの、専用のリモコンがあるもの、ワイヤレスで液晶画面を備えるものまである。

フォーカスリングが無限に回転し続けるレンズの場合は、フォローフォーカス側で終端のセットができるものを選びたい。電動であればこの終端のセットを自動で行ってくれる「キャリブレーション」機能があるといい。モーターがとりあえずフォーカスリングを回転させ、抵抗が加わった角度を終端と判断し、それ以上回転しないように設定してくれる。

特にこのキャリブレーション時、ギアがこれ以上動かないという判断がなされるまでモーターが回転し続ける。これがフォーカスリングに負荷となるため、キャリブレーションのモーター強度が強いとレンズが壊れないかハラハラする。また、フォローフォーカスの土台となっているロッドがしなったり、フォーカスリングの終端からさらに力が加わることでボディマウント部を支点にレンズがしなり、ギアがズレたりと、かみ合わせが甘くなったまま高速回転すると、ギア部分をなめたり削れたりすることがあるため注意する。

「ギャリギャリギャリギャリ!」と結構心配な音がする。ギアに十分な抵抗が加わらないとフォーカスリングの終端という判断が出来ないため、キャリブレーションの自動停止までの時間が長い電動フォローフォーカス製品はギャリギャリが終わらないため特に注意する。

スチルレンズに巻き付けたフォーカスギアなら破損しても交換すればいいが、フォーカスリング自体がギアであるシネマレンズであれば、フォーカスリングそのものの交換は難しいため、本当に、本当に注意する。

レンズサポート

重いレンズか長いレンズを使用する場合、ボディとのマウント部分には負荷がかかることで固定しきれずフォーカスリングの操作などでマウント部分が微妙に捻じれ映像に揺れとして影響が出ることがある。これらマウント部への負荷、ガタつきを防ぐためにレンズを下から支えるパーツである。レンズの重量によるマウント部へのてこによって加わる負荷を抑えたいわけであり、レンズの先端に近い位置を支えるとレンズに優しい。三脚座のボディとレンズ2点で支えるバージョンと考えて良い。

通常は前面に伸ばしたロッドに接続して使う。あまり強く突っ張ってしまうとレンズを上に押し上げることとなり、これはこれでマウント部に負荷がかかるため力加減に気をつける。

ケージを挟むなど、ロッドまでの距離が環境によって変わるため、実際にロッドまでは組み立て、ロッドからレンズまでの高さを計測し、十分な長さのものを選択する。1mmでも足りないと意味がなく、ショック。

ショルダーリグ

腕で支え続けるには辛い重量のカメラは、肩に乗せてしまえばいい。ただし重量バランスが腕側に偏り過ぎていると肩で支えることにならないため、背中側にカウンターウェイトを追加できると楽。ウェイトを追加することで総重量は増えるものの、重心が肩に来ることで腕への荷重を大幅に減らすことができ楽に支えられる。

肩に担ぐスタイルは、速報的に安定した撮影が可能な報道用のカメラとレコーダーが一体となったカムコーダーとして普及したことから、俗にENG(Electronic News Gathering)カメラ、またはENGスタイルと呼称することもある。イーエヌジーと発音する。今ではビデオカメラと言えば保存の仕組みも内蔵されているのが当然であるが、かつて撮影装置=ビデオカメラと記録装置=テープレコーダーは別の製品であった。

また、ショルダーヘルド時には顔の高さにカメラが来るが、長時間支えるためには姿勢としては腕を90°程度に曲げたところにグリップハンドルが欲しいところだ。これは肩-肘間の長さのそこそこ長いハンドルとなるが、準備できれば保持時間が大幅に伸びることだろう。さらにショルダーリグが肩から真っ直ぐ正面に伸びるということは、体の中央からズレる。右肩に載せた場合は右の肩甲骨あたりに負荷がかかり続けるため、ハンドルは左にスライド出来たほうが良い。

TILTA社のショルダーリグ:TA-LSR-Bがこのあたりの機能を有する。

TILTA製品ページのスクショ
TILTA製品ページのスクショ

また、位置的に背面モニタが見づらい、または見えなくなるため外部モニタをアームで顔の正面に伸ばすことになる。さらにこの姿勢ではレンズに触れられないため、電動フォローフォーカスをリモートで手元で操作できるようなセッティングや、フォーカスウィップの導入、フォーカスプラーへの依頼を検討する。

チェストパッド

肩に乗せるショルダーリグに対し、胸に押し付けることでカメラを固定するために使う。ハンドヘルドで腕が楽な高さに構えると、腹に押し当てることになるが、これは呼吸による脈動が伝わるため注意する。多少腕に負担をかけ胸の高さで保持するか、腕は下げておきたい場合ロッドから長めのグリップハンドルを検討する。

筆者はVマウントバッテリーがちょうどいい高さ、腕からの距離に来るため、その場のひらめきで急なハンドヘルド移行ではパッド無しで胸に押し付けることも多く、胸がよく赤くなっている。

例えば2kgなど重量級のレンズを使用する場合、カメラ後部に背面モニタが視認できるほどの隙間を空けて重めのVマウントバッテリーを固定すると、重心が程よく後ろに移動する。この状態でカメラストラップを使用すると、首+胸でほぼカメラを支えてしまえる。首がきつい場合はストラップを斜めがけにすることで肩への負担に変換できたり、ストラップを肩甲骨まで下げれば背中を突っ張ることでホールドできたりする。

まぁ、現場は時間がないのである、と言い訳しておく。創意工夫でクオリティを生み出すのだ。ハンドヘルドで素早くパンする場合、あるといい映像になることが多い。カメラを振るのではなく、身体ごと捻じれば良い。

カメラ周りのケーブルマネジメント

電源ケーブルやデータ通信用のUSBケーブルなど、大きく垂れているとカメラの取り回しに制限が生まれる。ものに引っかかることでガクンと揺れたり、ケーブルが外れてしまったり、モニタやボタンへのアクセスを遮ったりする。特定の機種用のアクセサリーであれば、このあたりも考慮されており必要最低限の長さのケーブルで機材に沿うものやそもそも収納できるように設計されているが、リグによって汎用機材をガチャガチャと取り付け拡張する場合は課題となる。

これらをまとめるための方法としては4つ考えられる。スプリングケーブル、マジックテープ、ゴム、ケーブルクランプである。

1つ目のスプリングケーブルはコンパクトにまとまり、絡まりにくく、セッティングによって特別な操作が不要で長さが微妙に足りない場合も多少伸ばすことができる。また、同じルートを通る他のストレートケーブルがあれば、ぐるぐるの中を通せばまとめられる。ただし長過ぎる場合、垂れ下がるにしてもまとまっているため重量がある。

2つ目のマジックテープは非常に安価。例としてLIKENNYのケーブルバンドは50枚入りでも500円程度だ。根本にケーブルを通す穴があれば、ケーブル使用時もマジックテープの紛失を防げる。

しかし、収納中にバッグ内部に張り付いたり、撮影中に服に張り付いたり、巻きグセが付いた後は使用中にくるくると固定されてしまい、ケーブル固定時に伸ばす手間が増えたりというデメリットは存在する。

3つ目のゴム紐もマジックテープとほぼ同じ要領で、マジックテープと比較して他のものに張り付かないメリットと、締め付ける強さを微調整できないデメリットが有る。ほぼ問題にはならない。

4つ目はケーブルクランプ。リグとして希望箇所にネジ止めし、ケーブルをネジで万力のようにクランプできる。ネジ穴に取り付けるスマートなケーブルクランプ「Sprig」もある。Sprigはケーブルを通す穴の径を調節できないが、特にデメリットではない。

有名どころでいえば、ゴム紐はthinkTANKphotoの「レッドウィップス」が12本2,000円程、ケーブルクランプはSmallRigの汎用ケーブルクランプが2,000~3,000円程、ネジ穴用ケーブルクランプ「Sprig」が1/4インチ用6個入りと、3/8インチ用3個入りが各3,000円程。

Sprigは硬めの樹脂でケーブル固定の穴があるだけであり、広がったり締め付けたりできないため、1つのSprigには比較的太さのあるHDMIケーブルはギリギリ2本、細いUSBケーブルは3本入るかどうか。長い場合で同じケーブルを折り返して2回通すこともある。1m以上のケーブルであれば何度も折り返すことになるだろうから、この場合はマジックテープやバンドを使うか、Sprigを複数個使えばOK。

デメリットは、ケーブルをまとめたいポイントにネジ穴が必要。Sprigのためにチーズプレートを追加することは本末転倒であるため、一旦冷静に検討する。

スライダー

レール上をカメラ本体ごとスライドできる機材。滑らかな移動撮影を実現する。

三脚に乗せて、または地面やテーブルに直に置いて、劇的なカメラワークをあなたの手で。

三脚に乗せる場合は長いとカメラの移動に伴い重心が傾くため、三脚にサンドバッグを取り付けたり必死に体重をかけ転倒を防ぐ。スマートにするなら、三脚からスライダー両端へ長いパイプを取り付け支えたり、または中央を三脚に固定するのではなく、三脚を2つ使い両端を支える。

スライダーを斜めにすることで、トルク次第だがカメラの自重で自然にスライドすることができるかもしれない。

スライダーの上に雲台ごとセットすれば、スライド中にカメラの向きも変えられるが難易度が桁違いに上がる。

何が桁違いかというと、直線運動と回転を組み合わせることになるためで、まずはティルトでは土台が移動しているため均等に力を加えることが困難であることは想像しやすいことと思う。パン側ではターゲットをフレーム内の同位置に固定したいというケースを考えてみよう。真横にスライドする距離と、パン角度は均等ではないためパンを等速で行えばズレが生じる。近いほどこの影響が顕著になる。試しにスライド端で30cmの距離にある被写体を等速スライド+等速パンで捉え続けようとしたシミュレーションを行った。

こうなる。このことから近年、スライド距離に同期してカメラを回転させる「トラッキング機能」を持つスライダーも出てきた。

スライダーの上に雲台をセットすることと逆に、雲台の上にスライダーをセットすれば、スライド方向に角度変化を持たせることができる。こちらは複雑な経路を実現できるが、コントロールが鬼難しい。

左右のスライドは特に注意点はないが、前後移動の際はスライダー自体がフレームに入らないように注意する。edelkroneのSlider PLUSという製品は三脚上でスライダーごとスライドする特殊な機構で、前後移動時の見切れを防げる。

一定スピードでスライドせねば手持ちのようにガクガクとしてしまうだろう。どれだけ滑らかに移動できるか訓練を重ねる。適度な抵抗があり一定スピードを維持しやすいオイルフリュードのような機構を備える製品もある。また、モーター付きの「電動スライダー」もある。

電動スライダー

ガタツキなく一定スピードを得られる極上のメリットが有る。デメリットは多く、電力が必要、重い、モーター音が鳴ってしまう、滑らかさは一級品だが最高スピードに限界がある。ただし、横へのスライド撮影はスピーディーさが必要なケースは少なく、じわりと”滑らか”に移動する必要があることがほとんどであり、電動に大きく分があるように思う。

スマホ用の専用アプリがあったり、ジンバルと同期できるものがあったりと、コンシューマ向けにも敷居がどんどん下がってきている。

edelkroneの製品群が、カメラアングル、フォーカシング、スライドを一括コントロールするエコシステムを形成しており、抜きん出ている。ただし価格も抜きん出ている。

ジブ

おおまかに同じ用途で「クレーン」とも云い、ぶん回すポール部分を脚と分け「ブーム」「ジブアーム」と云う。カメラマンごと乗る大型のクレーンもある。アームの一方にカメラ、もう一方にカウンターウェイトを載せバランスを取る。グリングリン回転させてダイナミックなカメラワーク、カメラアングルを実現できる。アームが伸縮できるものもある。

てこの原理をモロに受けるため、カメラが支点からの距離が離れるほど耐荷重は軽くなる。アームがしなってしまっていないかも確認。

円運動となるため、スライダーの完全な代わりにはならない。

照明用のアームの先にジンバルを付け疑似ジブにできなくもない。

ペデスタル

知識として知っているだけのためメモ程度に。

スタジオ収録番組やニュース番組で見かけることがある、車輪付きの空気圧で高低を調整できるごつい三脚。商業施設の床掃除する車に似ている。

かなりの重量のカメラを滑らかに上下左右に移動して撮影できる。特に上下は他の機材では難しい動き。車輪で移動するため地面が整地されている必要がある。基本的に屋内用。そのため筆者はスタジオ現場で使う可能性はあれど操作や購入の予定はない。

滑らかな上下の動きはクレーンよりも省スペースで実現できる。

非常に高価なため、ジブ、クレーンで代用することが多いと思われる。

ジンバル

カメラスタビライザーとも云う。カメラごと乗せて「手ブレ」を抑制する安定化機構を備えた特殊機材。生きている人間の体が完全に静止することはない。あなたに血が通っている証拠だ。安心しよう。

基本的にピッチ、ヨー、ロール回転の3軸をそれぞれ抑制するモーターを備えた3軸ジンバルが主流である。

重心をしっかり合わせないとモーターに大きく負荷がかかり効果が弱まる、またはガクガクと震えるように強まる、または諦めて首をもたげる。モーターのテンションに比べ極端に軽い、重いボディは十分に回転を補正できない。ボディとジンバルの形状によっては重心を中心にできないこともあり、カメラかジンバルにあえてカウンターウェイトを追加し、重心を合わせることもできる。「重心を合わせる」ことが大変重要であり、語りたい。

一眼タイプのカメラ用ではDJIのRS(Ronin Stabilizers)シリーズが有名だ。

DJI RS4特設ページのスクショ
DJI RS4特設ページのスクショ

耐荷重をペイロードと云う。そのジンバルで対応できるかどうかの最重要項目である。次点でカメラのサイズや形状によっても物理的にセットできない組み合わせもあるため、ホワイトペーパーをしっかりと確認し検討する。

ジンバルのセッティングメモ

DJI RSシリーズが有名だ。耐荷重によって価格帯が異なる。常に水平で撮影を行う以外にティルト程度はするはずである。ティルトで重心が前後に傾くが、耐荷重を越えていなければこれは保持するトルクに余力がある。セッティングは公式やカメラマンさんの動画解説が解りやすいため、ここではメモを残す。

モーターの力が最小限で済むよう、静止状態で水平を保つよう重心を合わせる。左右と前後。ベースにスライド機構があると楽。

まずはジンバル用の三脚を展開し、ジンバル部分もカメラをセットする状態に展開し、各軸をロックする。バランスを取ってから重心がズレると意味がないため、この時点でフォーカスモーターなど必要な装備品があれば全てを撮影時と同じセッティングにしておく。三脚で立てながらカメラに近い方からバランスを取っていく。

1.ピッチ:カメラから1つめのピッチ回転用の軸をロック解除し、手を離しても傾かない位置にカメラを載せたプレートの前後位置をスライドし合わせる。イメージで合わせるとおそらく前に傾く。想像よりレンズは重いのだ。バランスが正しく取れると、上を向けても静止する。真上を向けた際にレンズが下に振れる場合は土台ごと上にずり上げる。モニタ側が下に振れる場合は下げる。再度水平に戻しピッチバランスが崩れていないか確認。ここで軸を再度ロックしておく。

2.ロール:カメラから2つめのロール回転用の軸をロック解除し、同じく水平を保つ位置にカメラを載せたプレートの左右位置をスライドし合わせる。ここで、カメラのサイズによってはジンバル自体が障害となり、それ以上右にスライドできないことが考えられる。この場合、重心を右に移動できないのであれば、重りを追加しよう。1/4インチネジで固定できるカウンターウェイトが1000円ほどで売られている。50g、100g、200gなどあり、軽いものを複数連結するほうが微調整が効く。ジンバルやカメラに取り付けるよりオススメはクランプだ。ネジ穴を備えたクランプ(万力)も購入し、ジンバルのアーム部分にカウンターウェイトを取り付け重心を合わせる。クランプなら位置の微調整が効くため、重さと位置でバランスを合わせやすい。カウンターウェイトは全てを解決する。ペイロードを超えるカメラであっても、重心さえ取れればとりあえず安定してしまう。同じく軸を再度ロック状態にする。

3.ヨー:ジンバル根本のヨー回転用の軸をロック解除し、ジンバル本体を持って前後に傾ける。ピッチ方向だ。これで回転するならこの軸自体を前後にスライドし、ジンバルを傾けてもヨー回転しない位置に合わせる。これでタテ、ヨコ、前後の重心がジンバル中央になった。

ここでロックを解除し、電源を入れ、キャリブレーションを走らせる。カメラがブルブルと震え、適切なモーターの強度が自動で計測される。これでセッティング完了だ。

レンズ交換等、重心に影響のある変更を加える度、再セッティングが必要なことは覚えておこう。

通常、カメラは薄くする影響でバッテリー収納部やボタン類の基盤といったセンサー以外のパーツを逃がすスペースとして、またグリップ部を兼ねて右手側が長い。にも関わらずジンバルの多くはピッチ回転用のモーターが右手側にあり、耐荷重ではなくボディサイズによっては物理的に乗らない、または重心が左に寄ってしまう組み合わせがある。

また、カメラの回転以外で重心が崩れる要因として、ズーミングやフォーカシングによってレンズ全長が変わる場合は注意だ。ズームはしない選択が取れるが、フォーカスは捨てることが難しいため、被写界深度が浅い場合はフロントフォーカスのレンズは避けるのが吉である。

適応機種はボディとレンズの組み合わせやバッテリー、リグなど全ての重量、重心をある程度調べておき、ホワイトペーパーなりネットの情報なりで確認する。静止して使う分には公称の耐荷重よりはわずかにバッファがあり耐えてくれることが多いが、素早いカメラワーク、傾きといった瞬間的なGには追従しきれなくなる可能性が高いため、耐荷重に余裕を持った機材選びを心がけたい。

ZhiyunのCraneシリーズは比較的ペイロードが重く、ガタイの良いボディが載せられるスペースも考慮されている。シネマレンズや、筒が伸びるズームレンズも難なく対応するCrane 4が現状最強との噂。

もう一度言うがカウンターウェイトは全てを解決する。手のひらで箒を立てておける人はジンバルの安定性も高い。素早い動きでGがかかったときのみ、モーターの力を超えることがあるが、重心を感じながら操作できるオペレーターは、ペイロード3kgのジンバルであっても5kgの機材を乗せることができる。加速/減速スピードに制限が出るものの、とにかく重心だ。モーターに力が加わっていない状態で水平を保てればいい。

セッティング例としてはこうなる。

ジンバル右側のアームにカウンターウェイト200gを取り付け、BMPCC4K(700g)+バッテリーLP-E6(80g)フルケージ(300g)+OLYMPUS 12-100mm F4.0 IS PRO(561g)+フォーカスモーターTilta Nucleus Nano 2(80g)+ケーブル(数g)で約2kgだ。モーターによりフォーカス終端でレンズが捻じれるため、ゴム紐で押し付けている。

ペイロードに余裕がある場合のメリットとしては、1つ目がズーミングやフォーカシングでレンズの長さが変わる場合の大きな重心の変化を吸収できるため、バランス調整を雑に終わらせることが可能で時間短縮になる。2つ目が素早い加速/減速でのGに耐える。3つ目が水平でない状態で耐える。以上だ。逆に言えば、これらを排除できるなら、理論上耐荷重は問題ではなくなる。どう安定させたいかによってどの製品を選択すればいいか検討しよう。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     

カメラ自体にピッチ、ヨー、ロール回転の補正に加え、上下の揺れを補正する機構を備えたカメラ「DJI Ronin 4D」もある。ボディが既に4軸補正前提だ。

DJI Ronin 4D特設サイトのスクショ
DJI Ronin 4D特設サイトのスクショ

また、腰に装着しスプリングを用いて上下左右の移動(と見做せる)揺れを抑制できるツールもあり、ジンバルと組み合わせて使うTiltaの「Float」や、

TILTA公式サイトのFloat商品ページスクショ
TILTA公式サイトのFloat商品ページスクショ

上記Floatに似たスプリングを備え、荷重を上半身に分散させるベストであるDF DIGITALFOTOの「Thanos」などがある。

DF DIGITALFOTO公式サイトのThanos商品ページスクショ
DF DIGITALFOTO公式サイトのThanos商品ページスクショ

Float、Thanos、これらはジンバルに上下左右の2軸を追加し、5軸補正となる。どちらもベストとセットでカメラ+ジンバルを含めたツール全ての荷重を腕で支えるのではなく、背中と腰に分散させる。

この、荷重を腕以外に分散させる重要性に気づき製品化したのが「Easyrig」だ。

Easyrig公式サイトのスクショ
Easyrig公式サイトのスクショ

シネマカメラはときに10kgを超える。軽いはずのDSL(Digital Single Lens:デジタル一眼)もリグを組むほど重くなり4kg以上になることも少なくない。腕だけで長時間支えることが難しい場合があり、解決策として長らくショルダーヘルドが選択されてきた。腕と肩に乗せる。カメラ後方を肩で支えるということは、カメラのワークは柔軟に動かない肩に代わり腕で操作することになる。肩を軸として、カメラ前方を支える腕での動きとなる。動きにかなりの制限を受ける。そこで、カメラを吊り下げ「浮かせた」状態にし、荷重は上半身全体で分散し受ける。重量のあるカメラを長時間保持しつつ、自在に動かせるようになるわけだ。

次回はアングル

一旦、ツールの種類についてなんとなく知ることができたかと思う。ただ、これらがどんなときに必要なのか、以降の撮影技法と合わせることでより咀嚼しやすくなることであろう。カメラアングルへ続くんじゃ。

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