実際に業務にプログラムを取り入れるかどうかは別として、パソコンを使い作業を効率化するには、どういった効率化が望めるのか知らないといけません。効率化の極みとなるプログラムを参考に、プログラミングで可能な効率化の具体例と、自身で取り入れる価値があるかの判断材料として書いてみます。
効率化の目的
お金は他社に価値を提供した引き換えに頂きます。つまり買う側としては成果物が手に入りさえすればいいわけです。
ここで成果物である商品が出来上がるにはどのような方法があるか考えます。
2種類のコストの3つの使い方
大きく分けると商品を作る際のコストとしては「時間」か「お金」の2択かなと思います。そのコストの使い方として3つの方法があるかと思います。
- 自分が時間を使い頑張って作る
- お金を使い完成品を買うか、外注する
- 時間かお金を使い、頑張って機械が働く仕組みを作り、効率よく作り続ける
この内成果物に掛けるコストと、その後のリターンを比較して利益が残るなら商売として成立しますね。
そして多くの商売は「用意した商品・サービスを繰り返し提供する」ことで利益を出しています。人が払える金額には結構シビアな上限があることを踏まえても、売れる数を増やすほど、作る為のお金・時間を減らす程儲けられます。
コントロールできるコスト
売れる数は自身でコントロール出来ません(宣伝にコストを掛ければ売れる期待値はアップ)が、作る為のお金・時間は意図的に減らすことが可能です。また、作る為のお金・時間を効率化した上で従来のコストをかけクオリティを上げれば、売れる数が増えるかもしれません。
それが、パソコンが得意な分野です。
映像コンテンツ例で言えば、例えばオンライン教材、セミナーなど、画や音が届けば成立するものは、毎回会場に呼んで伝えずとも、録画した動画を配信すれば2回目以降は機械が働いてくれるので、100点の出来の説明を一度作れば済みます。
質問のみライブで受け付ければ、大変な時間が節約できることでしょう。
作るって面倒ですよね
世の中の殆どのクリエイターは、完成形が欲しいが為にものづくりをしていると思います(作る工程そのものが楽しい方にとっては、その限りではありません)。
頭の中にある完成形を、形に変換しなくてはなりません。
パソコンで何かを作る場合、その工程の大半は驚くほど地味で細かな作業の積み重ねです。マウスとキーボードで操作できるように作られているので尚更です。
そしてソフトにはある程度、「これは良く使うだろうねぇ」と開発者が想定した操作にショートカットキーが準備されています。[ctrl+S]で保存、[ctrl+Z]で操作の取り消し、などです。ショートカットキーが無ければ、ミスした操作の取り消しの為だけにマウスカーソルを左上のメニューまで移動させて、[編集>取り消し]と2回クリックし、作業を続けるためにマウスカーソルをズズッと戻して来なくてはなりませんが、ショートカットキーを覚えれば既にキーボード上にある左手を大きく動かすことなく保存した上で、作業を続行できます。
正直ちょっとしたミスの度にこんな操作してられませんね。
つまり、よく行う操作ほど手間を減らしたほうが良いわけです。
パソコンの得意分野
そこで、お使いのコンピューターというものの特性を挙げると、「言われたことしかできない」代わりに、「言われたことであれば素早く、ミスせず、疲れず、長時間行うことができるツール」という点があります。
パソコンという新入社員に作業マニュアルを指示さえ出来れば、研修期間0でベテラン社員に早変わりします。
以降は同じ作業に限り、永遠に頑張ってくれるのです。
考慮すべきは一点。「作業マニュアルを作るコスト」vs「以降の機械がこなす仕事」です。
言い換えれば○時間もしくは○円かけて作ったプログラムが、それ以上の価値を生み出すか?ですね。
After Effectsでどんな効率化があるか
「プログラミング脳」とも呼べる、考え方があります。プログラムの動き方が分かってくると、自身が普段どれだけの繰り返し作業を行っていて、どこが手作業であるべきかが見えてきます。
どの言語でも構いません、プログラミングというパソコンへの命令語がどういう仕組みなのか知るだけで、途端に効率化に気づくようになります。
オススメはメモ帳でしかも手軽に始められる「HTML」から、興味が出てくれば「css」「JavaScript」とブラウザ上に文字を表示させる仕組みを知ることです。
今後何度も行う作業であれば、
パソコンが理解できる命令文とは何か?どんな命令文があるのか?が分かれば十分です。
After Effectsであれば「スクリプト」という機能で、マウス・キーボード操作で行える処理の多くが、Javascriptというプログラム言語で命令できるよう設計されています。
ありがとうございます。
具体的なスクリプトの恩恵
以下にスクリプトを使った効率化の恩恵が大きな具体例をざっと挙げますと
レイヤーをx=○pxずつズラして○個配置したい
スクリプトがない世界…[ctrl+D]でレイヤーを複製>位置プロパティを開く>xに任意の数値を入力>必要数分繰り返し
スクリプトがある世界…スクリプトを実行>表示されるウィンドウでpx数、個数を入力
選択した複数レイヤーを○秒でフェードインさせたい
スクリプトがない世界…レイヤーを選択>不透明度を開く>インポイントにキーフレームを打つ>不透明度に0を入力>○秒後にキーフレームを打つ>不透明度に100を入力>繰り返し
スクリプトがある世界…[ctrl+クリック]で該当レイヤーを複数選択>スクリプトを実行>開いたウィンドウに秒数を入力
と、特に繰り返す操作に強く、1フレームずれてしまうような凡ミスも起こしません。そして一度このスクリプトを作成もしくは手に入れれば、今後の制作で同じ操作は永久に効率化出来てしまうのです。
自作スクリプトの紹介記事はこちらへ
最後に
時間を使い自分が成果物を作り上げるか、お金を使い外注するか、機械を働かせて成果物を出す仕組みを作るか、それを外注するかと、計算すればどれが最善のケースかわかります。
その中で、映像制作はストーリーや画作りといった効率化しづらいクリエイティブの部分と、地道なマウスクリックとキーボード操作でそれらを組み立てるという作業の部分があります。
基本的にはパソコンに任せられる作業を手でやるのは無駄な時間です。
一つ一つ組み上がっていく喜びがあるので、楽しいと錯覚しがちですが、面倒すぎてそのうちヘドが出ます。
エクセルで1000までの通し番号を15分かけて手打ちするようなものです。世の中にいる15秒で終わらせて14分休んでいる同業者と、次に待つクリエイティブな作業でも競わなくてはならないのです。
いずれ、死にます。
インターネットで検索すれば、効率化の方法は出てきます。
ただし両者の違いは、効率化の方法そのものや、効率化できるものかの判断材料が知識としてあるかだけです。つまり、何を検索すれば解決するのか知っているかどうかだけです。
何度も行う作業や、一定のルールに沿った作業に気づく力を、どうか持って欲しいと思います。
この記事へのコメントはありません。