撮影を行う際に決めておくことは下記の項目です。
- 台本
- シチュエーション
- 被写体
- 構図
- カメラ選び
- レンズ選び
- その他特殊機材選び
ただし撮影が台本より先となるドキュメンタリーはこの限りではありません。大筋を決めておき、編集でストーリーを組み上げていく非常に難しいパターンもあります。
今回は撮り直しが可能なストーリーが完成した後に撮影をする作品の撮影方法について学んでいきます。
台本
一人で手軽に撮影するなら簡単な「ト書き」でも良いですし、出演者がいれば撮影したい画や意図を共有するため絵コンテ、ビデオコンテを作り込んでも構いません。
シチュエーション
台本から撮影に必要となるシチュエーションを、現実的に撮影できるかを加味して厳選します。
夕暮れなど屋外の撮影であればライティングが刻一刻と変わるため、一日で撮影しきれなければ、同じセッティングで数日に渡ることも考えなければなりません。
また、撮影場所の撮影許可についても確認しておきましょう。
撮影場所が増えれば、出演者の移動手段の準備、移動時間や機材の片づけ、再セッティングに時間を要しますので、撮影に関わる方全員のスケジュールもシミュレーションが大切です。
被写体
背景、建物、人物、小物と、そのカットの意図を考慮して、画面内になにを入れるのか、なにを入れないのか選定します。
特にカメラ位置が変わる際や、カット順でない撮影の場合、ストーリー上で直前のカットでの小物の配置や、演者のテンションなど、繋がりに不都合はないか、編集でどうにもできない点を厳しくチェックします。
構図
そのカットで被写体のもつ意味、伝えたい意図に合わせてある程度構図は絞られます。前後のシーン、カットからどのような配置で、どのようなカメラワークを使うのか熟考します。
ここで使用レンズ、カメラ位置が絞られますので、撮影位置にカメラが配置できるかを最低限把握せねばなりません。
狙った位置にカメラが配置できなければ、ストーリーテリング上表現したい意図を再度確認し、異なるアングルやレンズを吟味します。場合によっては前後のカットとの繋がりが問題ないか、調整が必要かチェックし直します。
カメラ選び
カメラの性能によって保存できる動画フォーマットやデータ量、また取り回しの柔軟性が変わってきます。
性能は高いが重く移動に特殊機材が必要でないか、性能は低いが軽くカメラワークが自在であるかなど、予算と工程、必要な画が撮影できるカメラはどんなものか選定します。
レンズ選び
カメラ選びと並行し、望遠で被写体を切り取るのか、広角で情報量を増やすのか、被写界深度は浅いほうがいいのか、重いレンズで問題ないのか、撮影カットの意図を、実現可能な範囲で一番正しく表現できる組み合わせを捻出します。
その他特殊機材選び
上空から見下ろすような構図にしたければ、クレーンやドローンでカメラを高く持ち上げる必要があります。
歩く被写体を滑らかに追いかけたければ、レールを敷くか、最近では手軽にジンバルでの手持ち撮影も視野に入ります。
特にカメラアングルが変わるような撮影では、手持ち撮影ではグラグラと手ブレしてしまいますので、アクションシーンや一人称視点での臨場感を表現するのでなければ、滑らかなカメラワークで動画への没入感を阻害しない方法を模索することになります。
多くの場合は特殊機材で解決するか、fix(カメラ固定)で撮影します。
まとめ
このように実写撮影には、イラストや写真素材を用いたモーショングラフィックスとは異なる悩みどころがあり、その楽しさに触れた方は皆「実写撮影の沼」に落ちて行くのです。
特に機材系の「沼」は目に見えて所有欲を満たすことができ、ハマりやすい「沼」であると言えるでしょう。
細かく見れば、レンズによる微妙な映りの違いや、解像感、被写界深度の浅さによるボケの美しさにこだわる「レンズ沼」に落ちる方もいれば、様々なカメラアングルやカメラワークに魅了された「特機沼」、またレンズに日差しが入り込むことで起こるフレアを防ぐサンシェードや、外付けバッテリー、外付けSSD、外部マイクなど、カメラの性能を拡張するリグの取り付けに人生を捧げる「リグ沼」と様々な「沼」があり、それぞれ言い様のない楽しみがあるのです。
これらを少しでもアウトプットし、共感して頂くことで「沼」に落ちる方を増やすきっかけを作れたら幸いです。
今後一つひとつ撮影のカテゴリで詳細記事を増やしていこうと思います。
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