架空のマジシャンダーツバーのCMを作りました。
狙いを外さないマスターがお待ちしています。
架空のオープン前日譚
「ダーツバーを始めたんだって?」
開店を聞きつけたかつての仲間たち。プレオープンにバーのマスターになった元殺し屋を一目見ようと、気の置けない旧友たちが集まった。
「ハァ、ハァ、懐かしいな、お前がバーの、フシュー、マスターか」
同じく元殺し屋の「ひざ爆弾 りみ太郎」は、医大出身の元凄腕プログラマで、かつて時限爆弾不発事件で逮捕されたことから、その知識を買われて現在は爆弾処理班として警察に雇われている。彼はひざの痛みから常に息を切らし、脂汗が耐えない。
バツン!バツン!バリーン!「いい扉だね」
現殺し屋であり「おの専門店 さいこぱす」店長でもある「さいこぱす小野」がおので扉を破って入ってくる。気さくな笑顔は相変わらずだ。
メリメリ!メショスッ!「悪い悪い、家族サービスで遅れたよ」
壁を素手でちぎりながら入って来たのは、唯一の既婚者「ひじ鉄魔神の砕田(くだきだ)」。殺し屋引退後は「ホームサービス ノーキン」で働き家族を養っている。
「明日正式オープンなんだ、店を壊さないでくれよ。後はフッくんだけか」
「もういるでござる。」
マスターの影から現れたのは「吹き矢の手裏蔵」だ。代々殺し屋の家系であり、普段は人前に姿を現さず「忍者整体 肩パン手裏剣」の整体師を務めている。
「来たなら言ってくれ、酒はなにがいい?」
マスターが尋ねるも、皆明日は早いとアルコールの注文はなかった。
「まったくバーに何をしに来たんだ」
皆の視線はダーツマシンに注がれている。
砕田「なぁ、いつもの腕前を見せてくれよ」
小野「いい提案だね」
りみ太郎「真ん中があぁっ…!くッ…!一番点数高いんだろ?」
「そう、あの中心の小さな円が心臓だ。ゲームはかなりの種類があるが、メジャーなのは501(ファイブオウワン)ゲームだな。得点をマイナスしていって、先に0点になれば勝ち、0点を下回ればバストと言って負けになる。」
フッくん「この矢を投げるでござるか…マスター、何をしてるでござる?」
いつもの癖でライフルを組み立て始めるマスター。
「おっと、どうも得点を0に減らすルールと、殺しがダブって見えてしまったようだ」
りみ太郎「マシンの息の根はあッく!止めないで…ウッくれよ…ぁあ!」
店内を包み込む暖かな笑い声。日常というささやかな幸せがそこにあった。
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