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カメラ周辺機器

レンズ単体ではなく、カメラを使用するというシチュエーションにおいて撮影時の操作性を拡張したり、精度を上げるためにツールを使う方法もある。周辺機器を見ていこう。

執筆しながら長くなったため、まずは、カメラボディに直結させるツールで区切る。

メディア

センサーで読み取ったら記録しなくちゃ。

広く一般的なSDカードを台頭に外部SSD、近年ではCFexpressが主流。CFカードは廃れつつある。動画の撮影において必要な性能はまず転送速度、次いで容量であり、秒間数十枚の画像を保存できるかどうかでそのボディで使えるメディアかどうかが決まる。ハイスピード撮影なら尚更である。ディテールの細かなデータ量が多い画を保存する場合や、瞬間的なエラーなど、書き込み速度が追いつかないときにカメラ側で一時的にデータを保持しておけるバッファ領域はある。メディアへの帯域に余裕ができたタイミングでバッファから急いで記録する。

ただしLog、Raw撮影といった恒常的にデータ量が多いケースなどで書き込み速度が遅い場合、バッファが溢れるとほとんどのカメラでRecが止まる。機種によってはフレーム落ちを許容してでもRecは止めない設定がある。この場合には画面をずっと見ていても動きが少ない画でカクつきが視認できないケースや、フレーム落ちの発生時にモニタになんらかの表示がないケースでフレーム落ちに気づかないことがあるため、個人的にはRecが止まるものが好みである。やり直しの効かないロケやドキュメンタリーなど、フレーム落ちが発生してでも「記録されていることが優先」される場合に価値がある。

読み込み速度はカメラ上でプレビューするというよりは、PCへのデータ移行時に気にする点であるため、遅ければ極論、待てば良い。書き込み速度は最悪撮影が不可能な場合があるため重要。機種によっては公式が対応メディアを公表する場合がある。

現在主流な種類を記載する。

SDカード

製品自体が非常に小さく、CFカードとしのぎを削っていた時代に、かつては容量と速度、安定性にて劣るイメージがあったが、技術の進歩により大容量化、高速化、低価格化、安定化が進み、特に容量面ではSDHC、SDXCと現在もファイルシステムを変更し大容量化を続け同じ形状で戦い続けている。最新のSDUC規格では仕様上128TiBまで対応できるようだ。

また、容量の他にスピードにも規格があり、Hi-Speed、UHS-I、UHS-II、UHS-IIIと進化を続け、SD ExpressではPCIe4.0、NVMe1.4に対応し、理論上は約4GB/sを目指せるとされている。代わりに接続端子が増え、形状は同じであるためUHS-III用の差込口には刺さるものの、専用機でないと本来の力を発揮できずUHS-Iと認識され大幅に速度低下を起こす。壊れはしない。すごい。

また、購入したばかりであればスペックを確認できているはずだが、枚数が増えたり、機材を新調した際に改めてスペックを確認したいことがある。これは表面のシールにあるロゴで判断できるよう規格化されている。

これ以外のロゴマークはメーカーが独自に記載している容量や商品名であり、上記のスペック用の規格を表すロゴを重要視する。

PCへは専用のカードリーダー経由でデータを取り込む。PCによってはSDカードリーダーが内蔵されている製品もあり、別途購入が必要ないケースも有る。世代により速度が劇的に改善していくため、これを最大限に享受したい場合はどの道リーダーを買い替えとなる。

CFカード

廃れつつある。開発は終了しCFexpressに移行している。CompactFlash。今ではコンパクトと呼びづらいサイズ。リビジョンという所謂「世代」があり、6で100MB/sを超えるなど当時は超高速であった。SDカードの容量、速度が伸び悩んでいた時期に、大きいながらも大容量で高速というスペックが優先される場合においてCFカードがSDカードを上回るタイミングがあり、しばらくハイエンド機に採用され続けた。1TBは市場で見かけないレベル。512GBがヨドバシカメラで確認した最大容量であると記憶している。おそらく当時はそこまでの大容量は必要とされておらず、流通用に開発されなかったと考えている。

その後、SDカードの性能が向上したことで、小型と言えど嵩張るサイズ、価格面と、対応カメラが減っていったことで一般ユーザーはSDカードを選ぶ機会が多くなった。

PCへはCFカードリーダーを購入しデータを取り込む。接続端子が多く、PC用の浅く刺さるタイプのリーダーでは斜めに押し込みやすく、リーダー側の端子が良く曲がって困った。これはかつてカード型のノートパソコンの補助記憶デバイスとして普及したPCカードと互換性を持たせていたためで、PCカードと同じ大きさ。

CFastカードという後継規格があり500MB/sと極端に高速化を果たしたが、接続端子の形状が変わり互換性はなくなった。こちらもハイエンドカメラが一瞬対応したが、一般的に広く普及したとは言えない。

現行のCFexpressへ続く。

CFexpress (Type B)

PCIeのレーンを備え高速な記録媒体。SDカードよりも少し小さいType Aと、少し大きい代わりにさらに高速なType Bがある。サイズと形状が違うため互換性はなく、使用機材でどちらのTypeが対応しているか間違えないように注意。値が張るためミスると結構痛い。参考までに2024年9月にLexarのCFexpress Type Bの1TBを23,000円程で購入したが、近年円安の影響か値上がりしており2025年5月現在28,000円程度になっている。

筆者の手持ち機材BMCC6KではType Bの1スロットしか無い。Type Aは使用したことがなく、Type Bをメインに取り上げる。

CFカードと比べると小型化され、CFexpress2.0という後発規格にて対応カメラがようやく出始め、主にハイエンドカメラで採用されている。中身はPCIe3.0またはNVMe1.2をベースとした、超高速仕様だ。Type Bは最低でも2GB/sに対応している。仕様上は8GB/sまで拡張できるとしている。

PCに内蔵されたリーダーはほぼないと見られるため、取り込みには専用のリーダーの購入が別途必要で、多少高価。PCとの通信速度が重要となるため、筆者はPGYTECHのCreateMateというケース一体型のリーダーを使用中。

SSD

高速で大容量が必要なら、SSDをそのまま使っちゃえばいいじゃん的な脳筋アイディア。だがシンプル is the ベスト。本来はPC用のHDDに代わる記録デバイスであるが、PC内蔵インストール用のSATA規格であってもUSBへの変換アダプタで外付け化できる。フラッシュメモリであるため、そもそも衝撃に強く、初めからUSB端子を備え持ち運びを想定した「外付け」SSDもある。

メモリーカード類に比べれば嵩張るが、それでもフラッシュメモリを搭載したSSDはスマホより小さく、カメラ周辺に固定して撮影することが現実的に可能となった。対応するカメラはボディにUSB端子を備え、SSDへの記録が可能。メニューでカードへ記録するかSSDへ記録するか選択する。

USB接続であるため、カードリーダーが不要でPCへのデータ移行が楽というメリットもある。

これに記録する場合はLogやRaw撮影といったデータ量が多い場合がほとんどだと思う。SSDの時点でバススピードは高速なはずであるが重要なのは記録スピードであり、内部のデータ転送速度が十分高速であっても、USBケーブルの性能によって足を引っ張ることがある。速度が足りない場合、撮影時にはコマ落ちするかRecが止まったり、PCへのデータ移行時も時間を要したりする。

カメラへはSSDを固定する周辺機器を使う。軽量なためケーブルでプラプラ固定するだけでも使えてはしまう。ただし途中で抜ける可能性大でありもちろん自己責任の非推奨である。固定器具は後述するコールドシューマウントが多い。汎用的なSSDを挟み込むクリップ状になっていたり、特定SSDにぴたりとハマる固定部を備えていたりする。

外部バッテリー

機材に内蔵させるバッテリーに比べ、電源のない場所や長時間バッテリー交換をせずに使用する場合、大容量の外部バッテリーがあると便利だ。

広く使われているリチウムイオン充電式の規格だけ挙げる。これらが外部モニターや照明、カメラの外部バッテリーとして使われる。公式のものより安価な互換バッテリーが出回っている。USB接続で充電できるものもある。チャージャーはやや自己責任で専用の互換品もある。公式のチャージャーと互換バッテリーを使うケースもある。やはり自己責任。

飛行機では持ち込めるバッテリーに制限があるため、確認しておく。例えばANAでは100Wh以下は持ち込み可であるものの、100〜160Whのリチウムイオンバッテリーは2個までの制限など。

リチウムイオンバッテリーの中身は乾電池のような単電池が組み合わされている。セルと云う。例えば単3電池、あれがセルそのものである。リチウムイオン版の乾電池が複数、直列か並列でまとめられ、ガワにパッケージングされていると考えて差し支えない。我々が普段目にするカメラの付属バッテリーは、言わば接点付きのケースと見ることもできる。

バッテリーを直列するほど1度に発揮する電圧(V:ボルト)が強くなり、電球なら明るくなる。強さ。つまりアクセル。並列するほど電流(A:アンペア)が多くなり、電球なら長時間点灯できる。量。つまりはガソリン。

セルを並列して量を担保し、並列のパッケージを直列して必要な強さを稼ぐという、並列と直列を組み合わされていることがほとんど。

バッテリーは過放電、過充電、過電流で劣化や爆発に繋がる。使わなくともわずかな自然放電もあるため、0%で長期間放置すると劣化する。逆に満充電で長期保存しても内部で高電圧が維持されることで劣化する。ちょっとイラッとする事実ではあるが、保管する場合は50%程度を保つとやさしく寿命への影響が少ないとされている。また、充電→放電の回数にも寿命がある。回数とは言うが、5分充電など継ぎ足しを1回とは数えず、充電量が満充電分で1回と数える。放電も同じだ。つまり充電回数は正確にはバッテリーが生涯に扱える総電力量である。これが、使い方によって引き算されていくというわけだ。

この寿命をできるだけ保つために、製品側で電流を検知し、充電量が減った状態では過放電を防ぐため電気の供給を止める安全装置が働く場合がある。どのような場面で違いが出るかというと、大容量バッテリーであれば余裕を持って3時間使い続けられる場面で、小容量バッテリーでは50分ずつで交換しなくてはならないことがある。

もちろん、セルごとに品質のばらつきはあり、体力のあるセルと無いセルに一度に充電することになる。これは、セルごとの品質のばらつきや劣化を検知できなければ、劣化の進んだセルに対し、元気なセルに与える電力を供給する可能性もあり、つまりは人間の細胞と同じく、劣化が進んだセルに全体の寿命が引っ張られる。

内部のコンピュータで充電、放電の量と回数をカウントしているバッテリーもあり、元気のなくなったセルに満充電しようと、他の正常なバッテリーに過充電を起こす危険性を減らせる。また、機材側からこのデータにアクセスできる場合、効率よく寿命を伸ばし、ギリギリまで使える。また、安全性に考慮されていれば壊れる際も静かに死ぬ。発火して家を焼いたり、爆発して人体に危害を加えたりしにくいわけだ。

安価なバッテリーは材料費を削っていると考えるのが自然。カウンターがなかったり、外部からの耐衝撃性を省いていたり、内部からの衝撃を想定していなかったりする。感電、火災を起こす力のある電気を溜め込んでおけるツールである、という認識で決して大げさではない。正常に使用している限りは安全性は保証されるとしても、完全ではないし、耐用年数に関しては使用者が管理し、メーカーの責任の範囲外である。寝ている間の充電で事故が起きてもまだ対応はできるが、事故対応者がいなくなるような充電中の外出がいかに危険か再認識したい。これが、特に安全性と引き換えに安価である製品において、なおさら消費者も知っておくべきことだ。

CANON LP-E6

LP-E6、LP-E6N、LP-E6NHは旧製品。現行品はLP-E6P。全て形状は同じで互換性があり、同じ機材で使える。

SONY NP-Fバッテリー

小さい方からNP-F550、NP-F750、NP-F970とあり、SONY公式のものは2023年に販売が終了となってしまった。全ての端子は同じだが、ケースの大きさ、重量が違う。機材側で接続部分がバッテリーの形状に覆われていないことが多く、この場合は大きいタイプであっても飛び出した状態で使える。一部のカメラなどバッテリー収納部分がNP-F550バッテリーのサイズにくり抜かれている場合、大きいタイプは物理的に入らない。確認。

USBモバイルバッテリー

USBからの出力で電力が足りる機材ならモバイルバッテリーも検討できる。スマホの充電に使う広く普及しているやつ。同時に複数の機器へ給電が可能と謳われていても、トータルで給電先の必要電圧に対応できるか確認。もちろん、モバイルバッテリー側と機材側の接続端子を繋ぐケーブルが必要。市場にない場合は自作する猛者もいるが、知識がないと高電圧で機材を死なせることもあるため、敷居は高いだろう。

Vマウントバッテリー

業務用カメラや照明機材で使われることが多い大容量バッテリー。機材と固定するV字のロック部分がある。「Vマウント」と云う後述する「クイックリリース」のための機構。ゴールドマウントと云う横スライド式のマウントもあるが、日本においてはシェアが低くアダプターのバリエーションが少ないという互換性の問題があるため、筆者は個人的にVマウントを推奨する。

ニーズに合わせ比較的出力が高い製品が多く、例えば14.8Vの電圧で給電できる。端子は一般的にD型のD-Tap。USB-A、USB-C端子、DC端子があるものもあり、使用する機材に合わせて選ぶ。が、差口が足りない場合はタップを使える。

各端子から端子の形状は変換できる。変換コネクタを探す。ただし特にD-Tap outからの接続時には、入力側で変圧する機能があるか、ケーブル自体に使用する機材に合わせた電圧に変圧する機能があるものを選ぶ。ないと特に必要な電圧が低い製品に過電流を起こすと、そのまま機材が壊れるかもしれない。筆者はD-Tap/USB-Cケーブルでスティックライトを一つ死なせている。パチン!という音とともに沈黙した。

バッテリー残量などを表示するインジケーターやディスプレイがあると便利。安価な製品で特に、この残量表示が前述したカウンターではなく、単なる電圧計の場合がある。

電圧計は静止状態の安定した電圧を見るものであり、充放電中には電圧は揺れるものであるため、使用中の電圧を見たところで大体の目安となる。また、電圧は残量が少なくなると急激に落ちるため、精度は高くない。また使用中には残量が減って見え、供給を止めると残量が増えて見える。使用中に電源が落ちることがあるため注意する。撮影し直しとなると、現場の全員の時間を余分に奪うだけではあるが、特に演者の気持ちが切れる場合があり、機材の知識は作品のクオリティ、時間、予算に直結することがわかるであろう。

NP-FバッテリーをVマウントっぽく変換するアダプターもある。

カメラへの接続によるハンドヘルド時などで重すぎる場合は、腕だけに集中する荷重を分散させるという考え方で、ベルト固定のVマウントプレートや、バッテリーだけをボディバッグなどに入れて背負ってしまい、ケーブルだけ露出させボディと接続する撮影方法もある。

シュー

アクセサリーを固定するための四角いマウントが、よくボディ上部に付いている。「シュー」と云う。

スチルカメラのようにストロボとシャッターを同期させるために接続ができる電子接点を備えた「ホットシュー」と、電子接点のない「コールドシュー」がある。

ビデオライト

シューに固定できる軽量な照明があり、ビデオライトと呼ばれる。

照明の回で後述するが、カメラ位置から照らすということは、カメラから影が見えなくなるということであり、平面的に映ることになる。また、カメラに載せられるよう比較的軽量であり光量が弱い傾向にある。演出として自撮り感を出すことはできるが、一般的には緊急時用と割り切っていい。

ビデオマイク(3.5mmミニプラグ)

カメラ前面にもマイクは内蔵されていることが多いが、カメラ操作時の音が入りやすいことは知っておきたい。ハンドヘルドであれば、グリップノイズ。ギュギュッ、ギリギリと言った手とカメラが擦れる音は直接マイクに伝わる。また、ボディ前方にはレンズがあるわけで、フォーカシングやズーミングによるレンズのスライド音も拾う。

外付けのビデオマイクという製品はカメラコールドシューに接続してマイク端子をカメラにぶっ刺して使う。狙った角度以外の音を抑制する、「指向性」を持つものであれば、マイクが前方に伸びており、わずかに距離が離れることでカメラ近辺のノイズをキャンセルできる。ある程度。近いので完全には無理。ゴムや樹脂の柔軟性を利用し振動を吸収する「ショックマウント」が付いていればグリップノイズが伝わりにくい。物体の内部を伝わってくるノイズは劇的に減らせるが、空気を伝う摩擦音などはもちろん拾う。

あくまで上記の指向性獲得やグリップノイズ低減の目的で使う。カメラマイクよりも”良い音質”で録音したいという場合は効果はほとんど感じられないだろう。

音声収録の回で後述するが、「一般的に音質がいいとされる音」を収録したい場合には、必要な音とそれ以外のノイズの比率をコントロールするものであり、特に音源とマイクの距離が大変重要となる。カメラの位置から、角度調整も効かない状態で狙う音は音の傾向は変われど、品質的にはカメラマイクとあまり差が出ない事が多い。

※後述1:「ファンタム電源」が必要なマイクは、カメラ側でファンタム電源を供給できる必要がある。

※後述2:ビデオマイクでも細長い形状であればまず指向性がありガンマイク。後述では接続端子が3.5mmミニプラグに代わってXLR端子のものを紹介する。

ピンマイク(ラベリアマイク)

音源の近くで収録できるため、カメラマイクに比べ格段に聞き取りやすい声を収録できる。基本的には声の収録のために胸元にセットする。カメラに映ってはいけない場合、その小ささを生かし頭髪や頬の隠れる側、襟、インナー、またはコップのカメラと逆側やテーブルの縁などに隠して使うことも一応可能。

レコーダータイプとワイヤレスタイプがある。カメラまでケーブルを伸ばしていては被写体とカメラの位置に制限が生まれるため、レコーダーか送信機に接続し、装着者のポケットなどに保持してもらう。つまりバッテリー方式であることがほとんど。収録途中のバッテリー切れに注意。乾電池タイプならバッテリーを入れ替えるだけでレコーディングを続行できる。充電タイプは長時間の収録でバッテリー交換ができない。代わりにモバイルバッテリーで給電しながらレコーディングを行う方法もあるが、ポケットがパンパンになる上、重量とケーブルが増えるため避けたい。

レコーダータイプはマイクを接続する本体でそのまま収録可能で、ワイヤレスタイプは本体が音を電波で飛ばす送信機になっている。受信機をカメラやレコーダーに接続する。

レコーダーと送信機の機能を合わせ持った製品もある。

音声収録の回で後述するが、装着者の姿勢によるケーブルの突っ張り、衣擦れ音に注意する。隠しピンマイクとして服の中に隠す場合、布を1枚挟んだだけで途端に音が籠もるため、これも認識しておく。服の上に見えていい場合はこれ以上のマイクはない。逆にラベリアマイクが見えてはいけない場合、規模によるがピンマイクは「押さえ」で使用し、ガンマイクを検討する方が良い結果になることが多い。もちろんラベリアマイクを隠した状態で然るべき場所に然るべき角度で設置できるのであれば問題ない。音質を保った隠しピンマイクは隠し場所、隠し方に創造力が必要で職人技となる。

ワイヤレス機器と電波法

ワイヤレス機器で注意したいのは電波の区分だ。

ラジコン、地デジ、FMラジオ、携帯電話、Wi-Fi、Bluetoothなどなど、ありとあらゆる無線機器が電波を送受信しているが、周波数により免許が必要な帯域と免許不要の帯域がある。撮影関連のワイヤレス機器において使用される帯域の内、免許および当日の許可や、年会費、電波利用料などが必要な周波数をA帯と云い、使用者が免許不要で扱える周波数をB帯、C帯、2.4GHz帯と云う。

周波数ということで前述したカメラの扱う光を思い出した方もいるだろうか。「電磁波の波長と周波数、可視光とその範囲」図にて触れた通り、電波とは赤外線、紫外線、可視光と同じものだ。この内、赤外線より長い周波数の、電波法では3THz(テラヘルツ=10^12Hz)以下の電磁波を電波と呼び分けている。つまり電磁波の一部を電波と呼んでいる。

電波は同じ周波数がかち合うと混線してしまうため、周波数で区分しましょうということだ。携帯電話会社も各社で使用する帯域を振り分けており、スピードと繋がりやすさに関連してくるわけだ。700~800MHz周辺が、障害物の干渉耐性、通信速度、受信距離、安定性において携帯電話に最もバランスが良いことから「プラチナバンド」とされ各社が一番欲しい帯域とされている。(周波数が高くなるほど通信速度が上がるが、届く距離が短くなるため、高周波数ほどアンテナがたくさん必要になる。)

この記事を読んでいるほとんどの方は免許を持っていないと思われるが、映像周辺機器で我々が免許不要で使用できるのはB帯、C帯、2.4GHz帯製品である。さらに製品が技術基準に適合している必要がある。技適と呼ばれるアレだ。技適は国ごとに基準が違うため、国内で使用する場合は国内の技適製品に限られる。

特にワイヤレス機器を海外から輸入する場合に注意する。日本で使えないかもしれないし、逆に日本の電波タイプが後から選択できるかもしれない。日本の代理店経由で購入したものは、海外製品であっても日本の技適をクリアしているはずだ。個人で輸入する場合は、サポートに直接問い合わせることになるが、日本用に電波タイプを切り替える方法を教えてくれる場合がある。

筆者が購入したUltra Sync BlueというタイムコードをBluetoothで無線送信できる機器がまさにこれであった。Amazonで最安値を探し当てたが海外のTimecode Systems社から直接購入、発送されるものだったようで、米国版だったのだ。購入時は地域設定が[アメリカ/カナダ/オーストラリア/ニュージーランド]に設定されており、製品自体は他の国アメリカ国内で使用可能な電波以外をロックされている状態だった。

拙い英語でサポートに問い合わせると、ファームウェアアップデート用のアプリで地域設定のロックを解除するための隠し機能があり、この機能をアンロックするパスワードが送られて来た。めでたく、[日本/中国]設定にすることができたというわけだ。間違った地域設定に簡単に設定できないように入り組んだ設定変更方法にしているものと思われる。購入した製品が手軽に違法電波を飛ばせるのであれば技適は通らないのだろう。

A帯/B帯(注意)/C帯/2.4GHz帯

A帯は混線が命取りとなる大掛かりなテレビやコンサートなど、当日の許可をもらう。

B帯、C帯、2.4GHzは許可が不要であるということは、混線を防ぐ法的な仕組みがないため、使用者達が自己責任で使用することとなる。誰かの電波と混線する場合、我々撮影者が迷惑を被ると考えがちだが、こちらが迷惑をかける側になる可能性もあるため、近くで中規模のB帯を使ったコンサートなどがないかなど、調べておくに越したことはない。

撮影関連のワイヤレス機器では長らくB帯がスタンダードだ。ラジオと同じFM波という昔ながらのアナログ無線方式である。これは2025年現在、新規格に移行しつつある

というのも、B帯は806~810MHzという帯域を使用するが、電波法の改正により、2022年12月1日以降は現行のB帯を含むアナログ無線機が一部「旧規格のB帯」扱いとなり、使用できなくなることになった。しかし新型コロナによる影響を受け2021年6月に新たに「他の無線局の運用に妨害を与えない条件で当分の間延期」という扱いになっている経緯がある。

ここで、新規格のB帯製品が代替品として流通している。デジタルB帯だ。各メーカーで旧規格の検索や買い替えのための新規格を紹介しているサイトも多いため、確認しておきたい。特に中古品を購入する場合、旧B帯の製品では延期がいつまでとは決定していないため、急に禁止になるかもしれない。

管轄は総務省で、製品に記載の技適番号を入力すると、旧規格のワイヤレス機器かどうか検索できるページを公開している。

総務省:電波利用ポータル>技術基準適合証明等を受けた機器の検索
https://www.tele.soumu.go.jp/giteki/SearchServlet?pageID=js01

帯域というものは限りのある周波数を取り合っている上、様々な機器が増えたことでもう使える帯域がなくなってきている。人間は資源をあるだけ食い尽くす生き物である。このため、一部のアナログ無線で使用する帯域を他に明け渡すという時代になってきている。そして、明け渡す以外の道として、アナログの電波ではなく、デジタルに変換したデジタル無線へ移行しようというのだ。従来のB帯はアナログ方式であり、これが使えなくなる予定である。デジタル方式に移行するのだ。

無線機器が意図した周波数「以外」を発さないかどうかで技適を通す。不要な電波のことを「スプリアス」と云い、デジタルB帯が登場したことでアナログB帯の旧スプリアス規格とデジタルB帯の新スプリアス規格に分かれた。これにより、B帯製品の代替品を、メーカーによって「新B帯」「新スプリアス規格」などと呼び名が揺れるため、合わせて知っておこう。

C帯は300MHzの帯域で、周波数が低いということは音質は劣り、遠くまで飛ぶ。収録には不向きだが、インカムに適している。

2.4GHz帯はWi-Fiと同じ帯域で、B帯の電波法改正による使用不可を受け、新B帯と並ぶ新しいスタンダード帯域だ。新B帯と同じくデジタル無線である。音声収録の回で後述するが、周波数が一気に上がって特に高音域の音質が向上した。一方で、周波数が高いということは遠くに飛ばずに障害物に弱い、電子レンジやWi-Fiと同じ帯域であり、干渉しやすいなどの欠点はある。

まとめると、音質と通信距離、遮蔽物への耐性によりB帯か2.4GHz帯が我々のコア製品となる。電波法改正の延長措置中である以上、新規購入する選択肢としてはデジタル無線である新B帯(新スプリアス規格のB帯、デジタルB帯)か2.4GHz帯製品になるだろう。特定製品の機能的にどうしても、という場合はアナログ無線方式のB帯製品も2025年現在はまだ検討の余地はある。

ガンマイク(XLR端子)

指向性を持ったマイク。

音声収録の回で後述するが、画面外から遮蔽物を避けて口元を狙えるため、ピンマイクが見えてはいけない場合においてのセリフ収音には一番の方法。

カメラ上部に取り付ける想定のビデオマイクと項目を分けておく。

外部モニター

カメラ本体の背面モニタが視認できない角度でモニタリングしたい場合や、背面モニタを超える明るさのモニターが必要な場合、より大きなモニターでフォーカス合わせを容易にしたい場合に検討する。製品によってはモニタ自体にSDカード挿入口があり、収録に対応できる製品もある。ただし記録されるフレームレートやコーデックがカメラと同じように使えないなど、プロキシやバックアップとしての側面が強いだろう。カメラ用のバッテリーを流用できる製品も多い。

電力はAC電源の他、Sony NP-FバッテリーやVマウントバッテリーで供給する。背面にSony NP-Fバッテリー用の接続アダプターが組み込まれている機種も多い。

設置としては小型の三脚や、後述するリグでカメラに接続することが多いだろう。

HDMI接続が多い。カメラのHDMI outからモニターのHDMI inにHDMIケーブルで接続する。

SDI接続もある。カメラのSDI outからモニターのSDI inにSDIケーブルの通常BNC端子で接続する。

画面上でコントラストが高い部分をピントが合っていると判断し、ピントが合っているピクセルを見やすくしてくれる「フォーカスピーキング」機能があるとフォーカシングが楽になる。

ただし、カメラ側のHDMI outが1920×1080でしか伝送できないことがほとんどであるため、カメラ背面モニタのほうが解像度が高い可能性があり、一概にフォーカス合わせに有効でもないことがある。

設置する向きの柔軟性を上げるため、画面を上下反転できるものもある。

晴天時の屋外では1000nit以上ないと暗くて視認性が悪い可能性がある。「モニタフード」や「モニタ用ファインダー」で周囲の光を遮断する方法がある。

HDMIケーブル経由の場合、遅延時間には注意。カメラのワークやフォーカシングに影響が出る場合がある。

SDI

非圧縮の映像と音声を同時に伝送できる規格。同軸ケーブルでHDMIに比べ長距離の伝送が可能。最長100m。HDMIは増幅器を使用しなければ5m程が限界。機材同士がスイッチャーなどで有線で長距離繋がっている必要のあるライブ配信などで真価を発揮する。放送業界では長く使われている。

規格により対応する解像度が変わる。「3G-SDI(3Gbps)」は1080pまで、「6G-SDI(6Gbps)」は4K 30p、「12G-SDI(12Gbps)」は4K 60pに対応する。

SDIは信号の名前であり、端子は「BNC」と云う。HDMIにはほとんどない端子の抜け防止の機構がありがたい。

HDMI to SDIのコンバーターもあるため、SDI out端子のないカメラでもやりようがある。コンバーターの品質が低いと肝心の映像と音、また安定性に不安が出るため、しっかり選ぶ。

また、スイッチャーなどBNC端子同士が近すぎると、ロック機構と相まって抜きづらいことがある。現場目線では長らく問題視はされており、このための専用着脱ドライバーがある。「BNCドライバー」で検索すると出てくる。機器側でスペースを確保する進化で対応せぇよとは思っているが、抜けにくさと省スペースといったメリットのほうが上とされているのであろう。

SDI接続と電源の注意点

外部モニターを使用する場合に、電源周りで気をつけたいことがある。SDIのBNC端子は接続後に電流が流れ始めると破損の可能性がある。機器に電流が通った状態でSDIケーブルを挿す。SDIケーブルを接続する段階で電流が流れているか確認する必要があるため、SDI接続前に、接続先のモニターの電源をONにできたらモニター側のSDI in端子にケーブルを挿し、最後にカメラの電源がONにできたらカメラ側のSDI out端子にケーブルを挿す。高価なカメラのSDIポートが破損しては泣くしかないだろう。ヘルプを読み込む。気をつけよう。シールド付きのケーブルで防ぐことができる。

ワイヤレスHDMI(SDI)送信機/受信機

HDMIやSDIを無線化できる機械。カメラ側に送信機を接続し、モニタと受信機を接続することで離れた位置でのモニタリングを可能にする。1台の送信機から複数台の受信に対応していれば、カメラマンの他、ディレクター、クライアントが同時にモニターすることもできる。受信アプリ対応であればスマホを手軽に外部モニタ化できる。

ワイヤレスであるため、遅延時間は注意。ただのモニタリングであればいいが、カメラのワークやフォーカシングには少なからず障害となる。

クイックシュー/クイックリリースプレート

雲台のカメラをネジ止めするパーツを「フネ」と云う。フネは雲台から独立でき、カメラにフネをつけっぱなしにしておけば三脚とカメラの取り付け、取り外しで毎回ネジを回す必要がない。前述したVマウントのようにこの手間を削減する「クイックリリース」を行うためのものである。必殺技名ではない。

これと同じ仕組みの単体パーツを、オス側を「シュー」「クイックシュー」あるいは「フネ」、メス側を「プレート」「クイックリリースプレート」または「ベース」と云う。噛み合わせる形状によりいくつか規格がある。フネと同じ規格のプレートを複数購入し、例えばローアングル用の別の三脚とジンバルにも取り付けておけば、メインの三脚からの載せ替えが圧倒的に早くなる。

シューの取り付けにドライバーが必要なものと、ドライバー不要で指で回すためのノブを起こせるものがある。

三脚のフネと異なる規格で統一したい場合は、フネの上にクイックリリースプレートをネジ止めすればいい。つまり載せ替える機材が増えるたび、初めに買うクイックリリースプレートと同規格のクイックシューを延々と買い増すことになる。モデル自体の使いやすさだけでなく、固定性能、買い増しやすさ、機材全てで問題なく使える形状かしっかりと検討する。

ネジ止めが一本のものは捻れる可能性がある。ネジ締めが甘かったり、長時間の撮影で繰り返し捻じれ方向への力が加わることで緩んでくる可能性がある。カメラと固定するネジ以外に捻れ防止用の突起やスプリングがあればより良い。

クイックリリースの規格

アルカスイス…スイスのARCA-SWISS社が普及させた規格で、様々なメーカーが互換性のあるクイックリリースシステムを作っている。

Manfrotto…イタリアのManfrotto社が普及させた規格。これも互換品が数多くある。

edelkrone…トルコのedelkrone社が独自に作った規格。レバーをひねることで固定する形式を取る。プレートとシューの概念がなく、あらゆる1/4ネジとクイックリリースできる。

Vマウント…まず外部バッテリー用と覚えて差し支えない。規格は統一されていて、スライドするだけでロックされ、レバーを押してリリースする。

NATO…主にアクセサリー固定用であり後述する。

その他…メーカーや製品に独自規格がある。

注意点として同規格の互換とされていても、微妙にハマらない場合がある。使ってみないと確認できないため、上手く噛み合う組み合わせを買い足していくこととなる。ちなみに、筆者は手持ちのマンフロット三脚用のフネを紛失してしまい、互換品を買ったが接続はスムーズにできるものの外すのに強い衝撃が必要で毎回1分かかる。犬に噛まれたみたいになっている。買い直せ。

上図はVelbonのQRAシステムというシリーズである。薄く、2つの水平器付きで、スライドではなく上からカチッとマウントできるためお気に入りだ。面積もあるためギッチリ固定できる。カメラ、スライダー、モニター、パネルライトなどあらゆる装備品に使用するため買い足しながら10年以上愛用してきた。ただし、シュー、プレートともにネジが1本であり、使用機材の重量によっては長時間使用時の緩みが気になっていた。近年は中国Ulanziがビデオアクセサリーメーカーとして成熟してきた。UlanziのサブブランドであるFALCAMのF50というクイックリリースは重いがVelbon QRAシステムと同じくワンタッチマウントであり、シュー、ベースともにネジが2本である点が気になり試してみたところ、使用感は良く、さらにマンフロット規格にある程度の互換性を許容する点が決め手で2025年に移行した。

クイックリリースの方式

規格は多くないため、形状よりむしろ接続方式で検討することが多いだろう。ワンタッチで固定できるボタン式、回転させるノブ式、または接続時にはスライドしたり押しつけたりすることで固定機構が働きアクションが不要で、外す際にアクションが必要になる方式など、好みで選ぶ。

次回のアクセサリーは

続いてカメラの可能性を拡張できる装備品へ続く。

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